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鏡の向こうの来館者

鏡の向こうの来館者 怖い話
この記事は、FRONTIAのMisa(ミサ)が書き上げた新作の怖い話です。背筋がひんやり冷たくなる怪談・怖い話や都市伝説をお届けしていますので、ぜひご覧ください。

怪談ストーリー

最近、仕事のストレス解消のために、深夜まで営業しているジムに通い始めた。

夜のジムは昼間と違い、機械のモーター音と一定の呼吸音だけが響いていて、妙に静かだ。

僕が行く時間帯は人も少なく、だいたい3〜5人程度しかいない。

その夜も、ランニングマシンに乗って音楽を聴きながら走っていた。

ふと前の壁にある大きな鏡に目を向けると、後ろに一人の男が立っているのが映った。

黒いパーカーのフードを深くかぶり、顔は見えない。

この時間に新しい利用者か?と思ったが、振り返っても誰もいない。

そんなはずはない。

鏡の中では、確かに僕の後ろに「いる」。

視線を戻すと、鏡の中の彼は僕を見ていた。

フードの奥に、二つぼんやりとした目だけが光っていた。

思わずランニングマシンを止め、鏡に近づいた。

が、振り返るとやはり誰もいない。

ジムは静かで、空調の風の音だけがする。

僕は怖くなり、他の利用者がいるフリーウェイトのスペースに移動した。

しかし、そこでまた気づいた。

鏡の端に、さっきの男が立っている。

今度は僕のすぐ後ろに。

僕はゆっくり振り返った。

だが、そこには誰もいない。

どうしても信じられなくて鏡を見た。

鏡の中では、男が僕の肩に手を置いていた。

冷たい感覚が、はっきりと肩に乗った。

僕は声にならない息を吸い、荷物だけ掴んでジムを飛び出した。

外の空気は生温く、帰り道の電灯が妙に薄暗いように見えた。

振り返らないように、まっすぐ家へ帰った。

後日談

翌日、ジムに行くとスタッフに声をかけられた。

「最近、遅い時間に、フードをかぶった方と一緒に来られていますよね?」

違う。
そんな人と一緒に来たことは、一度もない。

しかしスタッフは言った。

「昨日も、あなたの後ろに立ってましたよ。受付から見えたので。」

僕の背中が、ひやりとした。

確認のため受付横の鏡を覗いた。

僕の後ろに黒いパーカーのフードが見えた気がした。

瞬きしたときには、もういなかった。

でも、鏡はまだ曇ったまま。

まるで誰かの呼気が触れたように。

鏡、見てみて。そこに、もう一人いない?

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