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止まらない階

止まらない階 怖い話
この記事は、FRONTIAのMisa(ミサ)が書き上げた新作の怖い話です。背筋がひんやり冷たくなる怪談・怖い話や都市伝説をお届けしていますので、ぜひご覧ください。

怪談ストーリー

夜の10時を過ぎた頃、残業を終えた僕は、オフィスビルのエレベーターに一人で乗り込んだ。

このビルの最上階は12階、僕の部署は9階にある。

「1階」と書かれたボタンを押して、無意識にため息をついたときだった。

エレベーターが静かに動き出したが、途中で不自然に止まり、表示が「6」と光った。

誰も呼んでいないはずなのに、扉が開く。

廊下は真っ暗で人の気配もない。

なのに、足音だけが“コツ、コツ”とこちらに近づいてくる。

怖くなって「閉」ボタンを何度も押したが、扉はゆっくりと閉まるだけで、すぐには反応しない。

やっと閉まった瞬間、鏡面の扉に、僕の背後に立つ誰かの肩が一瞬映った。

慌てて振り返ったが、そこには誰もいない。

胸の鼓動が早くなりながら、もう一度階数表示を見上げた。

「5」「4」と順調に下がっていたはずが、急に表示が「13」に変わった。

そんな階はこのビルにはない。

非常停止ボタンを押そうとしたが、ボタンの周りに薄く人の手形のような跡が残っていた。

冷たい空気が吹き抜け、僕の耳元で、かすれた声が囁いた。

「次は、あなただよ。」

気を失うような恐怖の中、エレベーターはゆっくり止まった。

扉が開くと、見たことのない灰色の廊下。

壁も床も同じ色で、どこまでも静まり返っている。

その奥に、無数のエレベーターの扉が並んでいた。

ひとつひとつの扉に、うっすらと人影が映っている。

気づけば僕の乗っていたエレベーターの表示は「0」に変わっていた。

後日談

翌朝、清掃員がエレベーター内に置きっぱなしの鞄を見つけた。

持ち主は僕だったが、ビルの監視カメラには僕がエレベーターに乗る姿しか映っていなかった。

それ以降、深夜にビルのエレベーターを使うと、「13」の階が一瞬だけ表示されるという噂が広がった。

エレベーターに乗るときは、事前に最上階を確認しようね。もしかしたらその先へ連れて行かれるかもだから…

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