この記事は、FRONTIAのMisa(ミサ)が書き上げた新作の怖い話です。背筋がひんやり冷たくなる怪談・怖い話や都市伝説をお届けしていますので、ぜひご覧ください。
怪談ストーリー
夏の盛り、大学の友人たちと海水浴に出かけた。
観光客で賑わう浜辺から少し離れ、人影の少ない入り江を見つけた僕らは、そこで泳ぐことにした。
岩場に囲まれ波も穏やかで、まるで秘密のビーチのようだった。
最初は楽しくはしゃいでいたのだが、不意に海の底から「誰かの声」が聞こえた気がした。
水中で耳に響くような、不明瞭な声。
最初は気のせいだと思った。
だが、潜るたびにその声ははっきりしていった。
「……いっしょに……」
低く湿った声が、泡のように耳元にまとわりつく。
驚いて顔を上げると、友人の一人が手を振っていた。
だが彼の表情は笑っておらず、蒼白な顔で必死に泳いでこちらに向かってきた。
「おい、今、足……誰か掴まれた!」
そう叫ぶと同時に、彼は必死に岸へ泳ぎ戻った。
僕も慌てて追いかける。
背後で海の水面が不自然に盛り上がり、まるで誰かがそこから這い上がろうとしているように揺れていた。
僕らは必死で砂浜まで戻り、荒い呼吸を整えた。
後ろを振り返ると、海は静かに凪いでいて、さっきの出来事が幻のように思えるほどだった。
しかし友人の足首には青黒い痕がくっきりと残っていた。
指で掴まれたような形の痣。
それは何日経っても消えなかったという。
後日談
あの入り江について地元の人に話すと、老人がこんなことを教えてくれた。
その場所では昔よく水難事故があったらしい。
漁師が海に飲まれ、遊びに来た若者が姿を消し、今でも年に数回は「行方不明者」が出るのだという。
「引きずり込もうとする声が聞こえたら、絶対に潜るな。あそこは、沈んだ者が仲間を探しとる場所じゃ」
その言葉を聞いたとき、友人の足に残った痣を思い出し背筋が凍った。
僕らは二度とその入り江には近づかなかった。

今年の夏、海で声を聞いたら……絶対に返事しちゃだめ





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