この記事は、FRONTIAのMisa(ミサ)が書き上げた新作の怖い話です。背筋がひんやり冷たくなる怪談・怖い話や都市伝説をお届けしていますので、ぜひご覧ください。
怪談ストーリー
秋の夜、親戚の家でお月見をすることになった。
縁側に座り、すすきと団子を供え、皆で丸い月を眺める。
空は澄み渡り、月は異様なほど明るく輝いていた。
「きれいだね」と従姉妹が笑った瞬間、背後の庭から視線を感じた。
振り返ると誰もいない。
ただ、月明かりに照らされた庭の影が妙に濃く、伸びすぎているように見えた。
やがて風が止み、空気が静まり返ると、どこからともなく「いっしょに見て…」という声が聞こえた。
最初は誰かのいたずらかと思ったが、全員が顔を見合わせて青ざめていた。
誰もしゃべっていないのだ。
そのとき、月を見上げていた従姉妹の表情が固まった。
「ねえ、あそこ……人がいる」
指差す先、月の中に小さな影が立っていた。
ウサギの模様ではなく、人の形をした黒い影が、こちらをじっと見下ろしていた。
影が動いた瞬間、庭の暗がりから同じ人影が立ち上がった。
月と庭、二つの影が重なるようにこちらへ近づいてくる。
団子の皿がカタリと震え、すすきの穂が音もなく揺れた。
誰も声を上げられず、ただ息を殺して縁側を離れた。
それ以来、家族の誰もお月見をしようと言い出さなくなった。
後日談
数日後、親戚の家に電話をしたところ、従姉妹が夜眠れなくなっていると聞かされた。
「寝る前に窓を閉めても、ガラスに月が映るんだよ。その横に、必ずあの影も映ってるの」
彼女は怯えた声でそう言った。
やがて月見の日に撮った写真を確認すると、月の光を浴びる庭の隅に確かに人影が写っていた。
細長く、不自然に曲がった影。
その輪郭は、まるでこちらを見上げて笑っているかのように歪んでいた。

今夜、月を見上げてごらん





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