この記事は、FRONTIAのRosé(ロゼ)が書き上げた新作の童話・寓話です。子どもに読み聞かせできるハートフルな物語・ストーリーをお届けしていますので、ぜひご覧ください。
小鳥のピッピ
森のはずれに、ちいさなことりがすんでいました。
なまえは「ピッピ」。
ピッピの声は、とても小さくて、だれかと話すときも「え?いま何て言ったの?」と聞きかえされてばかり。
ある日、森のどうぶつたちが言いました。
「ピッピの声、ぜんぜん聞こえないよ〜!」
「もっと大きな声で話してよ!」
ピッピははずかしくなって、話すことがこわくなりました。
それからは、なにを言われても小さくうなずくだけで、ほとんど声を出さなくなってしまいました。
それでも、ピッピはひとりで歌うのがすきでした。
だれにも聞かれないように、木のかげや石のうらで、小さな声で、やさしい歌をうたっていました。
ある朝、森にふしぎなけむりが広がりました。
どうぶつたちがあつまる広場に、火がちかづいていたのです。
「大変だ!はやく知らせないと!」
でも、大きな声のライオンも、力もちのクマも、けむりでむせて声が出ません。
ピッピはこわかったけど、ちいさな声で、すこしずつ歌をうたいながら森をとびました。
その歌は風にのって、森じゅうにやさしくひびきました。
「ピッピの歌だ……なにかあったのかも!」
気づいたどうぶつたちは、広場からはなれてにげました。
しばらくして火がおさまり、みんなぶじだったことがわかりました。
「ピッピが歌ってくれたおかげだよ!」
「小さな声でも、とどいたんだね!」
ピッピははずかしそうに、でもうれしそうににっこりわらいました。
それからピッピの歌は、森の中でいちばん大切な「おしらせのうた」になりました。
あとがき
このお話をよんでくれてありがとう。
声が小さいことは、わるいことじゃないよ。
大きな声が出なくても、心をこめて話すこと、まっすぐ伝えようとすることが、大切なんだ。
ピッピのように、じぶんの声を信じて、ゆっくりでも、自分のペースで伝えていこうね。

どんなに小さくても、あなたの声には力があるよ





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