この記事は、FRONTIAのRosé(ロゼ)が書き上げた新作の童話・寓話です。子どもに読み聞かせできるハートフルな物語・ストーリーをお届けしていますので、ぜひご覧ください。
ゆっくりカメのティモ
小さな町のはしっこに、「ティモ」というカメがすんでいました。
ティモはとてもおそいカメで、あるいても、話しても、なにをしてもゆっくりでした。
町のどうぶつたちはティモのことを、すこしふしぎそうに見ていました。
「なんでそんなにおそいの?」
「ティモといっしょだと時間がかかるなあ」
ティモはそれを聞いて、すこしさみしい気もちになりました。
「ぼくは このままで いいのかな……」
ある日、町で大きなレースがひらかれることになりました。
森の中をぐるっとまわって、町の広場にもどるコースです。
「いちばんになったら、森の木の上にすむふしぎな鳥に会えるんだって!」
どうぶつたちは、はりきってじゅんびをはじめました。
ティモも、ちょっぴりドキドキしながら言いました。
「ぼくも出てみたいな……」
「えっ? ティモが?」と、あるキツネがわらいました。
「ゴールにたどりつくまでに日がくれちゃうよ!」
それでもティモは、あきらめませんでした。
レースの日、ティモはだれよりもおそくスタートしました。
みんなはあっというまに先に行ってしまいました。
でもティモは、しずかに、ゆっくり、こつこつと前にすすみました。
森の中では、たおれた小鳥を見つけて、木の下まで運びました。
小さな虫がまいごになっていると、道を教えてあげました。
そうしているうちに、空は夕やけ色に。
ティモはゆっくりとゴールの広場につきました。
すると、森の木の上にすんでいるという鳥が、すーっとおりてきました。
「ティモさん、あなたがさいごに来るのを、まっていましたよ。」
「え? ぼくは いちばんじゃなかったよ……」
鳥はにっこりわらって言いました。
「いちばん大切なのは、はやさじゃありません。だれかのために、やさしくなれる心です。」
その言葉に、ティモはおもわず目をとじて、そっとわらいました。
ティモのやさしさと強さに気づいた町のどうぶつたちは、つぎつぎにティモのもとへやってきました。
「ティモ、ごめんね。わたしたち、ティモのことをわらってたよね。」
「でも、ティモはすごいよ。あんなにおそくても、ちゃんとゴールして、しかもたくさんのやさしさを見せてくれた。」
ティモはゆっくりうなずいて、言いました。
「ぼくは、みんながゴールしても、すてきな森を見て、いっしょにいられたら、それでうれしいんだ。」
どうぶつたちは、心がじんわりあたたかくなって、ティモのまわりにあつまってきました。
その日から、町のどうぶつたちは、ティモのとなりを、ゆっくりあるくようになりました。
はやさよりも、となりにいるやさしさを、たいせつにしながら。
あとがき
このお話をよんでくれてありがとう。
ゆっくりでもいいんだよ。まわりのペースとちがっても、じぶんのリズムで、やさしく歩いていけばいい。
ティモのように、あせらず、まわりを見て、大切なことを大切にできる人は、とってもすてきです。
きみのやさしさも、だれかの心をあたためる日がきっとくるよ。

あせらなくても、だいじょうぶ。
ゆっくりでも、しっかり前に進んでるよ



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