この記事は、FRONTIAのRosé(ロゼ)が書き上げた新作の童話・寓話です。子どもに読み聞かせできるハートフルな物語・ストーリーをお届けしていますので、ぜひご覧ください。
ひとりだけの木
ある村に、「コト」という男の子がいました。
コトは、ひとりで森に行くのがすきでした。だれかといっしょにいると、なんだかうまく話せなくて、いつも元気な友だちの中では、ひとりだけちがうように感じていました。
(ぼくなんて…なにもできないや)
そう思う日がふえて、コトはだんだん話すことさえ少なくなりました。
ある日、森の中をあるいていると、小さな木がかれているのを見つけました。
まわりの木は大きくて元気なのに、その木だけはちぢんで、うつむいているように見えました。
コトは思いました。
(この木、ぼくみたいだ…)
それからコトは、毎日その木に水をやり、声をかけるようになりました。
「今日もさむかったね」
「ちょっとだけでも元気になった?」
何日も何日もつづけていると、ある朝、小さな芽が出ていました。
コトはびっくりして、そして思わずわらいました。
春になった日、その木は白くてやさしい花をさかせました。
花のかおりにさそわれて、森にすんでいる小鳥や虫たちがあつまってきました。
それを見ていたコトに、村の女の子が話しかけてきました。
「ねえ、この花、すごくいいにおい。こんな木、見たことないよ!」
コトは小さな声で言いました。
「この木は、ぼくが毎日水をあげていたんだ。」
すると女の子は、ほほえんで言いました。
「コトって、すごいやさしいんだね。だれも気づかなかった木を、ずっと大切にしてたんだ。」
その日から、コトに「すごいね」と言ってくれる人がふえました。
でも、コトは何よりも、その木が元気になったことがうれしかったのです。
(ぼくにもできることが、ちゃんとあったんだ)
そう思ったコトは、小さくわらいながら、森を歩きつづけました。
あとがき
このお話をよんでくれてありがとう。
みんなとちがうことは、わるいことじゃないよ。
目立たなくても、大きな声が出なくても、だれかを大切に思う気もちや、つづける力は、とてもすてきなことです。
コトのように、「じぶんにしかできないこと」が、きっときみの中にもあるよ。
その気もちを大切に、ゆっくり歩いていこうね。

ちがうって、すてきなこと。
じぶんだけのやさしさを信じてみよう



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