この記事は、FRONTIAのMisa(ミサ)が書き上げた新作の怖い話です。背筋がひんやり冷たくなる怪談・怖い話や都市伝説をお届けしていますので、ぜひご覧ください。
怪談ストーリー
大学の友人たちと行った夏のキャンプの話だ。
場所は山奥にある小さな湖のほとり。観光地ではないが、地元では「穴場」として知られている静かなところだった。
宿泊先のロッジはログハウス風で、バーベキューもできる快適な場所だった。
夕方、湖に日が沈み始めたころ、俺たちは湖岸で花火をしていた。
風もなく水面はまるで鏡のように静かで、音を吸い込んでしまうような不思議な雰囲気だった。
そのとき、遠くの水面に何かが浮かんでいるのに気づいた。
最初は枯れた木か何かかと思った。でも、妙に白くヒラヒラと動いていた。
ひとりの友人が「女の人が泳いでる?」と冗談のように言ったが、あたりに人影はない。
街灯もない湖だったから、そんなところに人がいるはずがないのだ。
しばらく見ていると、それは音も立てず少しずつこちらに近づいてきていた。
でも誰もはっきりとは見えていなかった。
なんとなく見てはいけない気がして、全員目をそらした。
その夜、俺の部屋の窓だけがなぜか開いていた。
しっかり閉めた記憶があるし、風で開くような作りではない。
窓の外はすぐ湖で、水の匂いと共に誰かの濡れた髪のようなにおいがしていた。
何も見えなかった。でも、聞こえた。
水が滴るような音が、床に落ちていた。
次の朝、俺の枕元にはぬれた足跡のようなものがついていた。
まっすぐ窓の方から伸びて、俺の頭のすぐ近くで止まっていた。
後日談
帰宅して数日後、夜中にふと目を覚ました。
枕元のスマホが何もしていないのに勝手に起動していて、インカメラが作動していた。
画面には自分の寝顔と、背後に立つ濡れたような影。
その顔は、湖で見たものとどこか似ていた気がした。
翌朝、スマホを確認すると、昨夜の写真は保存されていなかった。
ただアルバムの中に「水面」という名前のフォルダができていて、中には見覚えのない真っ黒な写真が一枚だけあった。
その中央あたりに、ぼんやり白い顔のようなものが浮かんでいた。
フォルダを削除しようとしたが、なぜか「この項目は削除できません」と表示される。
電源を落としても、再起動しても、そのフォルダは消えなかった。
やがてスマホが熱を持ち始め、勝手にシャッター音が鳴るようになった。
その音が水が滴る音と重なって聞こえたのは、気のせいだったのだろうか。

今夜も水の音がしたら…
もう遅いかもね





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